Back  電源をとる(校内公演)

音響・照明には大きな電力を食う機材もあります。
また、ある程度の容量の電気を扱うということは、常に火事や感電の危険と隣り合わせの作業です。
  ・上演中に「ブレーカー」が落ちて芝居が台無しになった
  ・上演中にコードが焦げて火事になりかけた
  ・感電した
という失敗/危険を避けるためにも、「電気」に対する最低限の知識は必要です。

○基礎知識
ピカチュウは「10万ボルト」の電撃を出すことができます。 CDラジカセの出力や、蛍光灯・白熱電球の明るさなどには、「消費電力」という要素があります。 普段よく耳にする言葉も含め、電気の単位はいろいろあってややこしいものです。
  電流(単位:アンペア)……電気コード等の中を流れる電気エネルギーの量です。
               人体にたくさんの電流が流れると、感電死します。
  電圧(単位:ボルト) ……コード等の両端の電位の差。電流を流そうとする圧力となります。
               電圧が高くても、電流が流れなければ感電死しません。
  電力(単位:ワット) ……電流が行う仕事(音が鳴る、光る、モーターが回る等)の単位です。
電圧、電流、電力の関係は下の式となります。
   電力(W) = 電流(A) × 電圧(V)
(家庭用の電気は交流(AC)電源なので、厳密には上の式ではないのですが、実用上は同じだと思って構いません。)

○系統・ブレーカー・ヒューズ
学校の普通教室や家庭用のコンセントには、100V(ボルト)の電圧がかかっています。 電線から引き込んだ電気を、いくつかの「系統」に分けて各部屋に配線しています。 (家の中を1系統にしてしまうと、1ヶ所断線しただけで家の中の電気がすべてストップしてしまう。)
電線の長さ・太さなどの関係で、通常、1系統につき最大20A(アンペア)の電流まで耐える設計となっています。 1系統につき1つの「ブレーカー」があり、20A以上の電流が一定時間以上流れると、 ブレーカーが「落ち」ます。
前節の式(電力=電流×電圧)を変形すると、
    電流(A) = 電力(W) ÷ 電圧(V)
ですから、消費電力100Wの電器具を使うごとに、電線に1Aの電流が流れることがわかります。 1系統の電線には合計 20Aまでの電流が流せるということですから、それはつまり、2000W(2kW)までの 電器具を接続することができるということです。
市販のCD/MDラジカセなどはせいぜい出力30W程度ですが、演劇で使う照明機材は大きな電力を消費します。 ひとつの教室で1kW(1000W)のスポットライトを2つ使うと、それだけで容量いっぱいです。 また、冬場の公演では、電器ヒーターなどの暖房器具も要注意です。
視聴覚教室など大きめの部屋では、一部屋だけで1系統が割り当てられていることが多いようですが、
普通教室の壁面の電源コンセントは、「2〜3教室で1系統」という設計も多く、廊下のコンセントも 壁裏の教室と同系統、というのもよくあることです。
どれとどれが1系統のコンセントなのか知るには、廊下の壁にある「分電盤」を調べます。 「分電盤」の位置は覚えておきましょう。「分電盤」は多くの場合鍵付き扉ですが、 公演中はすぐに扉を開けることができるようにしておきましょう。 うっかりブレーカーを落としてしまった時、すぐに対応するためです。

廊下の壁にある分電盤と、その中にあるブレーカー。 1-4は1教室で20A、1-5と1-6は2教室で合計20Aまでとわかる。


容量オーバーを心配して、廊下や隣の教室から延長コードを使って電源を引っ張ってきたが、 結局1系統のうちだった、ということもあるので注意しましょう。

電器回路を守るものには、「ブレーカー」のほかに「ヒューズ」もあります。
「ブレーカー」は安全スイッチの一種ですから、落ちたスイッチを入れ直してすぐに復帰させることが可能です。 それに対して、いわゆる「ヒューズ」は、切れたり溶けたりすることによって回路全体の安全を守る消耗品です。 ヒューズが切れた場合は、交換するしかありません。


○コンセント・延長コード
 
タコ足配線で、1つのコンセントから電気を取る場合もありますが、家庭用電源のコンセントは普通「合計15A以内」という規格になっています。 1系統の許容範囲が20Aあっても、1つのコンセントに接続できる機器の合計は15A以内、 つまりワット数で合計1500W以内です。それを超えた電流が流れ続けると、接続部分に熱を持ち、 最悪の場合、発火して火事になります。
延長コードにも定格容量があり、市販されているものの多くは「12A以内」「15A以内」 のものです。

一ヶ所に2口ある壁のコンセント(ほとんどの場合、定格15A)や、定格15Aのコードに 1000W(1kW)のライトを2本つなげば容量オーバーです。 極めて短時間なら持ちこたえますが、一定時間点灯すれば熱を持ち、やがては溶けてショートしたり 発火したりします。
ドラム式の延長コード(コード・リール)の場合、さらに細かい注意が必要です。
コードをほとんど巻いたままの状態で大容量の電流を流すと非常に高温になります。 そのままにしておけばコードの被覆が溶け、やはりショートします。 巻いたままで使用できる最大の電流を、「定格電流」といい、コードを出し切った状態で流せる最大の電流を 「限度電流」といいます。定格電流は5Aとか7A程度であることが多く、例えば7Aであれば、 巻いた状態のコードリールに接続できるのは合計700Wまでです。 1000W(1kW)の灯体は1灯で既にアウトです。
ある程度以上の大電流を流す場合は、必ずコードを出し切って使用します。(床に、ゆるくまとめておけばよい)