Back  上演台本  

演劇をするには、なんといっても台本から。
上演台本を手に入れるには、探すか、作るか、の二通りの方法があります。
当たり前な話して……と思うかもしれませんが、これがなかなか面倒な話になっていくのです。

高校演劇の世界、特にコンクールでは、上演する台本を、既成脚本/創作脚本 の2種類に分類します。
これは、上演許可・審査(表彰)の関係で、創作か既成かという点が厳密に問われるからです。
誤解しないでほしいのですが、創作が上で既成作品の上演が下だ、という意味ではありません。
既成台本の深い解釈、演出の積み上げは創造的活動です。その点で、創作作品とまったく同等に評価 されます。
他人の創意を借りながら、「自分が考えついた」と言って(におわせて)尊敬を得ようとする行為が 最も軽蔑されます(いわゆるパクリというやつです)。これは厳に慎まねばなりません。 この点に関しては、 著作権のページ と併せてお読み下さい。


--- 既成作品 -----

○ 戯曲の書籍
群馬県内で演劇の戯曲(集)を手に入れることは難しいことです。
戯曲を扱っている書店は、けやきWALKの紀伊國屋書店(前橋)、煥乎堂(前橋)、ジュンク堂(高崎)、 ブックマンズアカデミー(前橋・高崎・太田)、戸田書店(県内各地)などです。BOOK・OFFほか古書店にも、いくらかは 置いてあるかもしれません。
けれども、高校演劇にふさわしいものはあまり置いてありません。群馬県内においては、戯曲を直接手にとって何ページか読んでから買う、 といったことは難しいのが現状です。当てずっぽうでとにかく買ってしまうなら、ネットの通信販売で購入する ことが手軽にできる時代になりました。当たり外れも覚悟の上で、部員が毎年一人一冊は買う、と決めている 学校もあります。そうした中に、素敵な出会いがあるかもしれません。
大会(コンクール)では60分という制限時間があるため、2時間程度であることが多いプロの劇団の作品は、台本の一部をカットせねばなりません。それにはそれの醍醐味があり、とても面白い作業ですが、 高校演劇のための戯曲作品としては、内容、キャストや装置の規模、上演時間、内容などいろいろな意味で、 『高校演劇セレクション』シリーズ (晩成書房)、 『季刊 高校演劇』 に収録された全国大会上演台本集などが お手頃です。 毎年開催される関東大会(各ブロック大会)や全国大会の会場では、それらを含む高校演劇用の戯曲集や、 演劇に関する様々な技術資料の書籍が販売ブースが出ますから、そこで入手することができます。 近県で上位大会が開催される場合は、ぜひ観劇しに行きましょう。
県立、市町村立の図書館で戯曲を借りて読むというのも一つの方法です。例えば前橋市立図書館などには、 『高校演劇セレクション』シリーズをはじめ演劇関係の図書も相当数収められています。

○ (いわゆる)ネット台本
また最近では、インターネット上に公開されている脚本も多数あります。
有名どころはなんといっても 「はりこのトラの穴(はりトラ)」 です。個人のサイトで自作をアップしている作家さんもたくさんいらっしゃいます。
書籍の形の戯曲(集)は、出版までに手間・時間・お金がかかるため、そもそも"駄作"が世に出にくい。 流通の過程でもさらに選別作用が働きます。つまり、一冊の戯曲が私達の手元に届いたという事実が、 それだけですでに「多くの人々の評価を得た」証明でもあるわけです。
ところがインターネットでは、やる気さえあれば、誰でも自分の力だけで極めて手軽に作品を公開でき、検索機能 で簡単に私達の手元まで来てしまいます。 このためネット上の戯曲は、優れた作品がある一方で、完成度の低い"駄作"も少なからず見受けられます。 ネット脚本の世界はまさに「玉石混淆」の世界です。
ネット上の戯曲は、これまでの所、コンクール上演作品としては評判が芳しくないことも多いので、 作品の出来についてよくよく見極めてから選ぶのがよいと思います。

○ 自分達の創作的活動を含むもの
高校演劇のコンクールでは、現役の演劇部員・顧問によるゼロからの創作以外はすべて既成作品となります。
以下のものは分類上「創作」ではなく、すべて「既成」扱いです。
  ○未発表の作品で初演だが、演劇部外の作者に依頼した戯曲を上演する場合
    ※「外部」には前顧問、演劇部OB、OGも含まれます。
  ○既成の戯曲を改変して上演する場合(「潤色」とされます)
    ※台本カット、役者の人数、性別などを変更することも「改変」にあたります。
    ※演出上の要請からセリフの語尾や方言を書き換えるのも「改変」にあたります。
  ○既成作品の物語構造は変えないが、時代設定、舞台設定などを改変して上演する場合(「翻案」とされます)
  ◎小説・マンガなど、演劇作品以外の物語を戯曲化して上演する場合(「脚色」とされます)
  ◎古典作品、神話や民間伝承などを戯曲化して上演する場合(同上)

付記:全国大会においては、上記にあるような原作付き脚本であっても、「相当の創作性が認められる」作品については 創作脚本賞の対象とすることがある、となりました。(◎脚色、◎翻案の脚本がこれにあたります)

上記の「既成」に該当する作品をコンクール等で上演するには、上演前に(原)作者に対して 「上演許可」を書面でとる必要があります。
潤色、脚色といった改変をして上演する場合は、原作者に対して「改変の許可」+「上演許可」の両方を とる必要があります。改変した上演台本を送付し、目を通してもらった上で許可を得て下さい。
コンクールに参加する作品である場合、毎年発行される全国高演協の「活動報告集」、 つまり正式な記録に必ず掲載されるという関係もあるので、上演許可は必ず書面で取得して下さい。
詳細については、 著作権のページ と併せてお読み下さい。

昔は、しらばっくれて勝手に上演してしまうことも多かったようです。ですが最近は、公演情報が様々な形で インターネット(例えば学校のHP、劇場のHP、行政の広報のHPなど)に掲載され、 作者が「自分の作品が無許可で上演されている」のを知って抗議、という事態も発生しています。 コンクールに限らず、既成作品の上演許可は必ず取るようにしましょう。


--- 創作 -----

高校演劇のコンクールにおいては、厳密には、
  ○上演する学校の現役演劇部員
  ○上演する学校の現役演劇部顧問
が執筆した作品についてのみ「創作作品」として扱われます。
ということは、
  ○3月(前年度末)まで顧問だった先生が書いて、4月に異動してしまった場合
  ○引退した生徒が書いて、年度が変わってから現役生徒によって上演される場合
  ○自校で過去に創作した作品を再演する場合
その作品はコンクールにおいては「既成」扱いとなるので注意して下さい。

創作作品であれば、本来著作者に許可を得る必要はないはずですが、作品中に他者作品(物語)を部分 的にでも借用している場合は、(原)作者に対して「許可」をとり、出典を明記する必要があります。
出版されている書籍を引用している場合、著作権法で認められている「引用」の範囲であれば出典の 明記だけで大丈夫ですが、歌謡曲の歌詞等、音楽関係の著作権については別途十分に留意してください。この点に関しては、 著作権のページ と併せてお読み下さい。