Back  舞台監督 

一本の演劇作品を作る上で、重要な役割を担う舞台監督。その仕事内容は幅広く、責任も重大です。
全国大会に出てくるような学校の多くが、役者・他の係を兼ねない専属の舞台監督を置いています。 一方で、部員数が少ない学校では舞台監督を決めない所もあります。 ですが、そういう学校でも、誰かがその役目を必ずしているはずです。

○ 仕事内容
演劇における舞台監督の担当する仕事は、例えば次のようなものです。

(a) 芝居の立ち上げから本番終了までのスケジュール作り、その行程管理
(b) 演出担当−各スタッフ間の連絡調整
(c) 大会主催者との連絡調整
(d) リハーサル、本番の進行役

芝居作りの際に生ずる様々な実務上の「出来事」を管理し、それらに対して責任を負います。
高校演劇部の場合、「部長」がいることと思います。
部長は、年間を通じた演劇部の活動計画をまとめたり、顧問の先生や生徒会本部と演劇部員の間に入って連絡調整役を果たしたりします。 これに対して舞台監督は、一本ごとの芝居における責任者です。
役割の性質は似ている……というか一部は確かに重複するので、 「部長が舞台監督をすればいいのではないか?」と考えることもできます。 実際そうなっている学校もあると思います。
しかしながら、取り組み中の「ある一作品のための最善」と、年間を通じて考えた時の「部の最善」とが必ずしも一致するとは限りません。 部長と舞台監督とは別人である方がより望ましいと思います。
また、舞台監督は、その責任の重さ、求められる視界の広さなどから、役者や音響・照明スタッフとも兼ねない形が理想です。
(とはいえ、部員数の少ない学校はムズカシイですよね……)

ひとつの芝居に責任を持つポジションには「演出」担当者もいます。
舞台監督を立てない学校では、演出担当者がシーン割りから練習日程決めまですべて仕切る所もあります。 それはそれでひとつの形です。
「演出」担当は本来、作っている演劇の作品(堅く言えば芸術作品)としての質を高め、 よいモノにする役割を担います。そのため、自然といろいろな事に「こだわる」役回りになります。
1シーンを何回練習するかとか、装置や効果にどこまで高い要求をするかいったこだわりは、 作品をスケジュール通りに制作する営みとは正反対の圧力です。舞台監督不在の演劇部では、 時として、演出担当者が矛盾する二つの要求(欲求)を抱えて悩みながら演劇制作のすべてを背負い込んでいることもあります。 そういう意味でも、舞台監督は、演出担当者と別に立てられると有益です。


○ 具体的には?

(a) 芝居の立ち上げから本番終了までのスケジュール作り、その行程管理
舞台監督は、ある作品における制作日程を作り、日程通り進むよう気を配ります。
学校行事や各部員の都合(部活出欠)を把握し、スケジュールの調整をします。
  ・部内部のスケジュール……上演作品決定の期日、本読み〜練習〜通し稽古(合宿)の日程作り
  ・対外的なスケジュール……出場校打合会、リハ、本番の日程把握、移動手段・時間の確認
本読みが終わって稽古が始まると、最初のうちは、毎日部分的に芝居作りをしてゆきますが、 そのシーン割り、「割り」ごとの練習日程を作成するのも舞台監督の仕事です。
もちろん、それらは演出担当や各スタッフ主任と相談し合いながら決めてゆくことになります。

(b) 演出担当−各スタッフ間の連絡調整
毎日の活動において、いつ頃どんな練習・作業をするのか決定し、指示をします。
部員数が少なければ、キャストが裏方を兼ねている学校も多いと思います。 それぞれのセクションの都合を聞き取り、調整して部全体の行動を決定するのは舞台監督です。
役者の稽古の際はト書きを読んだりプロンプターになったりしながら、時間の管理をします。

(c) 大会主催者との連絡調整
大会(コンクール・地区発表会)では主催者との連絡調整が必要ですが、顧問の先生とともに、 部の窓口になるのが舞台監督です。
提出書類の締め切りを心得て、部内でパンフレット原稿、装置図、照明仕込み図などについて各係に指示して (期日までに仕上げてもらい) 集めたり、大会本部から「各校1名」などと招集がかかったりした場合に対応したりします。

(d)-1 リハーサルの進行役
リハーサルや本番の日の日程を決め、予定通りに進められるよう気を配ります。
決めるのは、現地入り、アップ、楽屋入り、道具の移動(車の手配)、食事の時間などです。
バミリテープ、蓄光テープを用意します。
リハーサル中は、時間の経過を部員に伝えます。(5〜10分刻みが多いようです)
「きっかけ合わせ」が始まったらそれを仕切ります。
「きっかけ合わせ」の主な目的は、緞帳・照明・音響などホールにしかない機材を使って、 日ごろの練習通りに舞台を使えるかどうか確認する作業です。 しかも、(国立劇場優秀公演など「ゲネプロ」形式を含む長時間のリハを求める大会もなくはないのですが) たいていの大会(地区・県・ブロック)ではひとつひとつの演技の練習・入退場の練習をしている暇などありません。 それでも、きっかけ合わせがしばしば「練習」の場になだれ込んでしまうのは、 役者やスタッフが何か失敗して予定通りの動きができなかった時、焦って/ついつい一生懸命になってしまって、 本人や演出担当が「もう一回」を要求してしまうからでしょう。 結果として、予定していた確認事項を全部チェックできなかった、というのもよく聞く話です。
そんな時、よい舞台監督は大局的な視点からそうした停滞にストップをかけて (今失敗しても、反省を生かして本番でちゃんとやるならそれでよい)、 本来必要な確認項目を粛々とこなしてゆきます。

(d)-2 本番の進行役
本番中は舞台袖で計時をし、ポイントごとに予定通り進行しているか確認します。
コンクールの場合「上演60分以内」という規定があるので、予定より押しているようなら巻きを入れるといった判断 (もちろん事前にどうするかみんなで相談しておくべきでしょうが) をして部全体に伝達したりします。
役者を兼ねない舞台監督は、インカムを耳に当てて、照明室や音響卓などと連絡を取り合いながら、 緞帳の昇降、場転、バトン昇降といった処理のキュー出しを担当することも多いようです。