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○「幕」について


群馬会館の下手側袖の様子

---緞帳---
緞帳(どんちょう)は、多くの場合、観客に開演と終演を知らせる働きを持っています。
60分程度の高校演劇では、緞帳の上げ下げを複数回行う「二幕もの」「三幕もの」などの作品はまれです。 緞帳が下がって、次に上がるまでの間を「幕間(まくあい)」といい、通常は休憩時間となります。

---暗転幕---
二幕もの(三幕もの……)ではないが大がかりな装置転換が必要で、その作業の様子を観客には見せたくない場合、 暗転幕を使用します。緞帳のすぐ後ろにあり、通常は真っ黒な幕です。
ホールによって、緞帳と同じように昇降するものと、中割幕と同じように両側から開閉するものとがあります。
暗転中(舞台上も観客席も暗い中)で暗転幕の開け閉めがあると、短時間であれば観客に気づかれないこともあります。 再び舞台が明るくなった時、舞台装置が激変していると客席はどよめきます。

---袖幕---
袖幕は、大道具とともに舞台空間を形成し、アクティング・エリアを決定します。
多くのホールでは、袖幕はプロセニアム・アーチより1m〜2m程度内側まで動かすことができます。 これを、袖幕を「せめる」といいます。
袖幕をせめることによって、アクテイング・エリアをコンパクトにして劇空間を濃密にしたり、 客席から袖の中が見えないようにすることができます。(舞台装置の少なさをゴマカスこともできますね。)
合同公演・コンクールの場合、他校が袖幕の位置を動かす可能性があります。自校のリハーサル時に袖幕の位置を適切に調整し、 本番前には位置合わせをしておくべきです。

---中割幕---
前から2〜3枚目の袖幕と兼ねていることも多く、舞台中央まで伸びて、アクティングエリアを前部と奥とに分割します。 中割幕より奥に設置された大道具は完全に隠され、中割幕が完全にしまった舞台は、 黒いカーテン状の背景を持つ、前後に狭い空間となります。
中割幕は、「主舞台とは別空間である場所」を比較的手軽に表現できる方法です。 大きくて上演中には動かすことのできない大道具を、シーン割りの都合上一時的に見えなくしたい時、 中割幕は便利です。
例えば、「基本は室内だが、一時的に屋外のシーンがある」作品で、部屋の装置はしっかり 作り込み、屋外のシーンでは中割幕を引いてその前で演技、といった使い方ができます。


  中割を引いて、ピンスポットで照らす。
  後ろの大道具が隠される。

劇場の袖幕・中割幕は大きな一枚布です。破損したり、汚したりしたら大変な損害となります。
ホールの許可なく、大道具と袖幕とをテープ、クリップ、安全ピン、洗濯バサミ等で固定してはいけません。 大道具を動かす時うっかり引っ張って破損してしまうことがあります。
大道具が倒れてしまった時、あるいは搬出入の時に、大道具(パネル等)で引っかけて破損してしまうことも多いです。

原則として「何があっても触れない」つもりでいるのが一番です。

---大黒・ホリゾント幕---
高校演劇ではホリゾントライトが多用されますが、その色を出すため、 舞台の最も奥に吊り下げられた白い幕がホリゾント幕です。 ホリゾント幕(の白さ)を見せたくない場合、その前に黒い幕を引くことができます。 これを「大黒(おおぐろ)」と呼びます。
大黒を引いた舞台は全体が黒くて落ち着いた空間になり、コンパクトな照明効果が高まります。
ホリ幕のまま
大黒を引いた


○吊り物

舞台上方から垂らす大道具、小道具を「吊り物」と呼びます。
吊り物は、「吊り物バトン」にワイヤーを使って吊り込みます。
バトンは、幕間、上演中を問わず手動または電動で上下させることができます。
吊り物は、落ちてきたら大怪我必至。吊り物バトンに装置を吊り込む時は、様々の注意が必要です。
十分な強度を持たせて下さい。

右奥の「木」はバトンから吊るされています

針金(バインド線)ではなく、バトンからの長さを正しく決めて、適切な長さに処理した金属ワイヤーとカラビナを使って吊りましょう。

端末処理をしたワイヤーとカラビナ
上演の途中で、装置が「見切れ」なくなるまで「飛ばす」場合は、吊り物の幅に注意して下さい。
吊り物バトンの前後には、照明用のバトンから照明機材(灯体)がたくさん下がっているはずです。 その隙間に収まるくらい薄い装置でないと飛ばし切ることはできません。

舞台の上方から紙吹雪を落とす仕組みに「雪かご」というものがあります。
下からヒモなどを使って操作するような装置は、力を加えてもなるべく揺れないように工夫する必要があります。 複雑な仕掛けは仕込むのに時間がかかります。合同公演、コンクール等で搬出入の時間が制限されている場合、 吊り物処理も含めて時間内で収まるよう、綿密に計画して下さい。